革漉き機で糸、使ってないの?きれいなヘリ返しをするための「糸技」

革漉き機で糸、使ってないの?
きれいなヘリ返しをするための「糸技」

革漉き機を持っている方。

漉き機で「糸」、使っていますか?

今回は、ヘリ返しをするときに使える、 ちょっとした「糸技」を紹介します。

用意するものは、 革漉き機と0番糸。

特別な加工はしません。

折りたい幅のところに、
糸を巻くだけです。

折りたい幅に0番糸を固定する

やり方はとても簡単です。

革漉き機の押さえ金に、 ヘリ返しで折りたい幅を決めて0番糸を巻きます。

そして、漉いている途中で糸が動かないように、 テープなどで固定します。

革漉き機の押さえ金に折り幅に合わせて0番糸を固定した状態

折りたい幅の位置に0番糸を巻き、動かないように固定します。

今回は手元にあった0番糸を使っていますが、 大切なのは「0番糸でなければいけない」ということではありません。

しっかり固定できるのであれば、 針金など、もう少し硬いものを使った方が安定することもあります。

糸は目印ではありません

この糸、折る位置を見るための目印ではありません。

糸を巻くことで、 押さえ金に一時的な凸を作っています。

0番糸を固定した押さえ金を革漉き機に取り付けた状態

0番糸を固定した押さえ金を革漉き機に取り付けた状態です。

この状態で革を漉くと、 糸によって作った凸の部分が革に当たり、 革の裏側に一本の溝ができます。

革漉き機で漉いた革の裏側にできたヘリ返し用の溝

漉いた革の裏側に、折る位置となる一本の溝ができます。

革漉き機で作ったヘリ返し用の溝のアップ

溝の部分を革の表から見るとこんな感じです。

あとは、この溝に沿って革を折ります。

革の裏側に付けた溝に沿ってヘリ返ししている状態

溝に沿って折ることで、ヘリ返しがしやすくなります。

糸で押さえ金の形を一時的に変えて、
革に「折りやすい溝」を作る。

やっていることは、それだけです。

もちろん、専用の押さえ金もあります

今回紹介したヘリ返しには、 専用の押さえ金もあります。

同じ作業を何度もするのであれば、 専用の道具を使った方が、 早く、きれいに、安定して作業できます。

ただ、たまにしか使わない道具まで全部そろえていくと、 道具も増えますし、費用もかかります。

たくさん使わなければ、 専用の道具を用意しても元が取れないこともあります。

そんなときは今回のように、 今持っている道具を一時的に工夫して使う。

これも一つの方法だと思います。

汎用性の高い道具と、専用の道具

道具には、いろいろな仕事に使える汎用性の高いものと、 特定の仕事のために作られた専用のものがあります。

私の感覚を、 仕上がりや使いやすさの「満足度」で表すなら、 こんなイメージです。

汎用性の高い道具 → 80%

専用で作った道具 → 90%

専用で作って、さらに自分用に加工 → 90%以上

※この数字は道具の性能を表すものではありません。 私自身の「仕上がりや使いやすさに対する満足度」のイメージです。

だったら全部、専用にすればいい。

……というほど単純でもありません。

専用の道具は、 その仕事、その材料、その環境に合っていると、とても強い。

きれいに仕上げやすく、 作業もしやすくなります。

ただ、その分振り幅が小さい。

革が変わった。
芯材が変わった。
作るものが変わった。
機械が変わった。

環境や仕様が変わることで、 それまで90%だった専用道具が使いにくくなったり、 場合によっては使えなくなって0%になることもあります。

反対に汎用性の高い道具は、 100%を狙うのは難しくても、 いろいろな仕事に対応できます。

例えば、バッグの丸手を縫う道具

バッグの丸手を縫う作業も、 分かりやすい例です。

汎用性のある道具でも縫うことはできます。

ただ、芯のギリギリまで縫うことができないので、 芯と縫い目の間に少しゆとりができます。

もっと芯の近くをきれいに縫いたいのであれば、 その仕事に合わせた専用の道具が必要になります。

汎用性を取るのか。
仕上がりを突き詰めるのか。

どちらが正解という話ではありません。

作る数、求める仕上がり、今の環境。

それによって選ぶものだと思います。

専用の道具を、さらに自分用に加工する

専用の道具を買えば、 それで完成とも限りません。

下の写真は、 ランドセルのコーナーを縫うための専用道具です。

私は、その専用道具をさらに加工して使っています。

ランドセルのコーナーを縫うために加工した専用道具

ランドセルのコーナーを縫うための専用道具を、さらに自分の仕事に合わせて加工しています。

なぜ、専用道具をさらに加工するのか。

HEXIONでは大人だけではなく、 幼稚園児もランドセルを自分で縫います。

職人が使いやすい道具をそのまま使うのではなく、 子どもでも扱えるように、 道具の方を使う人に合わせていきます。

HEXIONで幼稚園児がミシンを使ってランドセルを縫っている様子

HEXIONでは道具を工夫することで、幼稚園児が自分でランドセルを縫う体験も行っています。

人が道具に合わせるだけではなく、
道具を人に合わせる。

これも、道具を加工する理由の一つです。

ただし、加工すれば良くなるわけでもない

ここまで読むと、 「じゃあ専用道具をさらに加工すればいい」 と思うかもしれません。

が・・・失敗もします。

加工するための専用の道具がないので、削りすぎたり、 加工しない場所が削れてしまったり、 せっかくの専用道具を台無しにしてしまうこともあります。

誰でも失敗します。笑

さらに、うまく加工できても、 専用になればなるほど使える条件は狭くなります。

ある仕事では90%以上でも、 条件が変われば0%になることもある。

だから、 何でも加工した方がいいという話ではありません。

今ある道具で工夫する。
専用道具を使う。
必要なら、自分の仕事に合わせて加工する。

そのときの仕事に合わせて選べばいいと思います。

失敗と成功の繰り返し

道具を加工すれば、 必ずうまくいくわけではありません。

失敗して、考えて、また試す。

その繰り返しの中で、 「こうすればできる」が少しずつ増えていきます。

今はYouTubeを見れば、 いろいろな作り方を知ることができます。

先生に答えを聞くこともできます。

それは、すごく大事なことです。

ただ、ものづくりに関しては、 時として遠回りも必要なんじゃないかな?と思っています。

答えを知ることと、 自分で失敗して 「なぜこうなるんだろう?」 と考えること。

同じ答えにたどり着いたとしても、 その途中で得られるものは少し違います。

ものづくりにゴールはない

不便だな。
この作業、手間がかかるな。

そう感じたとき、 実はその作業のための専用の道具や治具が すでにあることも多いです。

今回紹介したヘリ返しにも、専用の押さえ金があります。

同じ作業を何度もするなら、 専用の道具や治具を使った方が、 早く、きれいに、安定して作業できます。

ただ、たくさん使わなければ 元が取れません。

だから、少ししか使わないなら、 今ある環境の中で工夫してみる。

苦手な作業を練習して克服するのも、 一つの方法です。

でも、 道具や治具で苦手をカバーする。

それも一つの方法だと思います。

そして私の場合

「これ、不便やな」

そう思うと、 道具を作ったり加工したりし始めます。

その結果、普通に作業するより
遅くなることが多々あります。笑

しかも、たまに失敗して 道具を台無しにします。

でも、そんな寄り道から 新しい道具が生まれることもあります。

「コバを誰でも簡単に、 ストレスなく、きれいに塗ってほしい。」

コバチートも、 そんな工夫から生まれたアイテムです。

シルバーウィーク。

家でレザークラフトを楽しんでいる方も 多いんじゃないでしょうか。

今回は、 革漉き機と糸を使った一つの方法を ここに置いておきます。

今ある環境の中で、少し工夫してみてください。
きっと、自分なりの裏技が見つかります。

ものづくりに、ゴールはありません。

失敗と成功を繰り返しながら、少しずつ楽しんでいきましょう!

コバチートも、工夫から生まれた道具です。

コバ塗りを、もっと簡単に、ストレスなく、きれいに。
使い方や誕生のきっかけはこちらから。

KobaCheat™(コバチート)公式ガイドを見る

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